導入事例

CASE STUDY

さくらインターネット株式会社

本事例で採用された製品・ソリューション

サーバラック・セキュリティシステム電子錠コントローラ
RMS-EL128

データセンターの無人化を実現するため
サーバラック・セキュリティシステム電子錠コントローラを共同開発
利便性とセキュリティの向上、スタッフの負荷軽減を目指す

自社運営のデータセンターを基盤にクラウドコンピューティングサービスを提供し、さまざまな分野におけるDXを支援するさくらインターネットは、データセンターの物理セキュリティを強化し、センターの無人化を進めるサーバラック・セキュリティシステム電子錠コントローラ「RMS-EL128」を、東京エレクトロンデバイス長崎と共同開発しました。共同開発の目的から経緯、概要、RMS-EL128がもたらす効果など、さくらインターネットにお聞きしました。

開発・導入前の課題
  • ■データセンターのラック解錠業務をシステム化・無人化し、スタッフの作業負荷を軽減したい
  • ■人手での解錠・施錠確認で起こり得るミスを未然に防止したい
ソリューションの利点
  • ■東京エレクトロンデバイス長崎の仕様理解・開発力を活かした共同プロジェクトによる開発
  • ■各種電子機器の受託開発や試作、量産までワンストップでの対応が可能
導入後の効果
  • ■ラック扉開閉にスタッフの立ち会いが不要で業務負荷を大幅に軽減し、無人化が可能
  • ■クラウド上の管理システムで扉の解錠・施錠を管理でき、セキュアで効率的な電子錠システムを実現
DCの「無人化」に向けて、課題となる
ラック扉解錠業務の完全なシステム化を目指す

さくらインターネットは北海道、東京、大阪に自社データセンターを構え、運営しています。お客様の重要なデータを守るために運用体制は24時間365日です。どのセンターにも多くのスタッフが常駐していますが、同社には業務をできる限り「無人化」したいという目標がありました。無人化を目指すにあたり、課題の一つとなるのがラックの解錠・施錠に関する業務です。

「現在の業務フローでは、お客様が作業のためにデータセンターに来館したら、本人確認をしてラックの鍵を渡し、作業後には施錠されているかを都度確認します。このフローはデータセンタースタッフが必ず立ち会う必要があり、負荷が大きく、また人を介することでなんらかのミスや事故が発生する可能性もあります」(江草氏)

そこでさくらインターネットでは、無人化に向けラックの解錠・施錠に関する業務を電子化することとしました。しかし、既存のデータセンターラック向け電子錠システムには多くの課題がありました。例えば、既存システムには20~30基程度のラックを一度に解錠したり、制御パネルなどによって解錠ラックを指定したりするものが多く、お客様の利便性や安全性に難があります。認証応答速度の遅いシステムはお客様のストレスに繋がりますし、そのほかにも既存のラックへの取り付けが困難なものや、冗長化の仕組みがなく、トラブルが発生した際に電子錠が使えないものもあります。

「さらに、解錠権限がカードリーダー側にある場合はカードリーダーに鍵を登録しておかないと扉は開きませんが、この方法では万が一に鍵を紛失した際にセキュリティ面に不安が残ります。既存の電子錠システムにこれらすべての課題があるわけではありませんが、無人化という目標を考えると満足のいくものがありませんでした」(江草氏)

既存システムの課題を洗い出したさくらインターネットは、これまでのデータセンター運用業務からラックの解錠・施錠に関するノウハウや知見を集め、電子錠システムを自社で開発することとしました。システムのハードウェア部分を担う開発パートナーとして、デジタル化技術で各種電子機器の受託開発や試作、量産までワンストップで対応する東京エレクトロンデバイス長崎を選び、共同開発がスタートしました。

  • さくらインターネット株式会社
    技術推進統括担当
    執行役員 兼 CISO 兼 CIO
    江草 陽太 氏

  • さくらインターネット株式会社
    事業開発本部
    IoTプラットフォーム事業部
    神山 智章 氏

さくらインターネット株式会社

所在地
:大阪府大阪市北区梅田1-12-12
東京建物梅田ビル11階
資本金
:22億5,692万円
従業員数
:連結 710名(2022年3月末)
URL
https://www.sakura.ad.jp/

サーバラック・セキュリティシステム電子錠コントローラRMS-EL128の構成図

クラウドからサーバラックの電子錠を管理・制御できる「RMS-EL128」を共同開発

開発の第1フェーズでは、量産時の納品や運用も含めた要求事項に対応できる仕様自体の設計を綿密に実施。第2フェーズでは実際の試作機などの設計を仕様に基づいて進める形で行われました。両社で作成した要件/仕様をもとに綿密な打ち合わせを行い、東京エレクトロンデバイス長崎でハードウェアとそのファームウェアの開発・試作を進め、制御に必要となるクラウド側のソフトウェアの開発はさくらインターネットが担っています。

「要件を実現できる仕様の策定や回路設計などで難しい点も多く、開発では苦慮しましたが、2社でチェック・検証した上でセキュリティが強固なものを完成させることができました」(江草氏)

2社の協力により完成した製品が「RMS-EL128」です。RMS-EL128は各ラックのカードリーダー付き電子錠ハンドルを個別にFeliCa/Mifareで認証・解錠できるセキュリティシステムです。クラウドサーバ、クラウドサーバに接続する親機(2台)、各ラックに設置される子機、各ラック扉に設置されるカードリーダー付き電子錠ハンドルから構成され、親機から子機の配線の終端に別の親機を接続する冗長構成により、障害箇所以外は運用を継続できダウン範囲を最小化します。また親機と子機はデイジーチェーン接続で、親機は最大128台の子機と上位サーバ間の通信を中継します。

電子錠の解錠権限はクラウド上で一元管理されます。各装置とサーバ間の通信は、カード情報以外の情報も含めてエンドツーエンドで暗号化されているため、通信の盗聴や開閉への介入を第三者が行うことはできません。また解錠履歴などの証跡ログを保管できるため監査にも使うことができます。

「扉を解錠する権限を常にカードに付与する必要がなく、設定した期間だけカードが使えるような運用ができる仕組みです。万が一カードを紛失しても、予定利用期間が過ぎたり発覚時に即座に無効化することで、扉を開けられなくなります」(神山氏)

「RMS-EL128はソフトウェアから制御しやすいシステムになっていることが大きな特徴です。クラウド上のシステムで動作を制御しますので、お客様の望むシステムの要件に合わせて全体の動作を変えられる構造になっています。導入先に合わせた挙動にカスタマイズしやすい点も独自の強みです」(江草氏)

またカードによる認証速度についても、開発当初から速度目標を立てて理想の数値を目指したといいます。

「認証が遅いとカードが読み込めなかったのか、読み込んでいる途中なのかが不明で利用者のストレスになります。カードをかざして、ハンドルに手を掛ける前には認証が終わっているイメージに近づけるようこだわりました」(神山氏)

自社のDCに本格導入スタート 今後は他社への販売も検討

さくらインターネットでは試験導入を経て、2023年6月からRMS-EL128の本格導入を開始します(2023年5月取材)。

「当社が運営するデータセンターの1つで、お客様がコロケーションしているラックも含めすべてのラックにRMS-EL128を設置します。試験導入では問題もなく、既にお客様への告知も完了していますので無事にスタートが切れると思います」(江草氏)

RMS-EL128を導入することで、お客様にとっての利便性とセキュリティ性を向上でき、スタッフのラック扉の解錠・施錠業務の負荷を軽減することが期待できます。共同開発を完了し、東京エレクトロンデバイス長崎への評価をお二人に伺いました。

「ソフトウェアのプロトコルが複雑で実装が大変だったと思いますが、仕様を理解した上で実装していただけたので良かったと思います。迅速に対応してもらいましたし、信頼できるパートナーとして共同開発を進められました」(江草氏)

「ハードウェアの面では、今回の設計・開発・検証では“トラブル時にスタッフが手動でリブートや機器ベンダへの問い合わせなどで対応すれば良い”ではなく、“トラブルが起きてもシステムとして維持/リカバーすることを前提に”という方針で進めました。データセンターのスタッフが電子錠に詳しい必要はなく、本業に専念しつつ運用できるよう使えるようにする必要があったからです。東京エレクトロンデバイス長崎はそうした方針にもしっかりついてきてくれました」(神山氏)

今後はイベントでの実機展示などのPRも行いながら、他のお客様への販売も行っていきます。

「ハードウェアとクラウドでの管理システムをセットで扱うのは通常なかなか難しいですが、当社と東京エレクトロンデバイス長崎の共同サービスとしてRMS-EL128を提供できますので、これは大きな強みだと思います。ターゲットとしては、大規模なデータセンター事業者様や、ラック数は少ないけれどシステムの柔軟性に価値を感じていただけるお客様が中心になります」(江草氏)

さくらインターネットと東京エレクトロンデバイス長崎は、今後もデータセンター運用の効率化をより一層加速し、新たな価値創出に向けてDXの強化と展開に取り組んでいきます。

本案件で導入された製品
【さくらインターネット株式会社のご紹介】

1996年創業。個人から法人、文教・公共分野まで、さまざまなニーズに合わせ、コロケーションやクラウドコンピューティングサービスを自社運営の国内のデータセンターを基盤に提供しています。「『やりたいこと』を『できる』に変える」の理念のもと、あらゆる分野に対応するDXソリューションを提案します。

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