サーバラックの電子錠対応カスタマイズ

サーバラックを電子錠対応にするには
標準的な物理鍵ハンドルのサーバラックを電子錠対応にするには、電子錠ハンドルへの交換と扉センサ取り付けが必要です。前後扉にこの取り付けを行いラック内電子錠ハーネスに接続して、電子錠コントローラ(電子錠管理ユニット)から配線されたケーブルと接続します。
ヨーロッパ規格ハンドル穴の普及で電子錠ハンドルへの交換が容易に
サーバラックのハンドルはハンドル穴サイズとハンドル軸位置が一致するタイプのものに交換することができます。ハンドル穴寸法が異なるとアタッチメント金具の利用などカスタマイズの難易度があがり、交換が現実的ではなくなります。以前は、サーバラック出荷後のハンドル交換が想定されておらず、標準装備されたハンドルと同じメーカの電子錠ハンドルへの交換だけが可能でした。しかし、近年ではヨーロッパ規格(パネル穴:幅25mm×高さ150mm)のスイングハンドルが海外で普及し、多くの海外製ラックの標準仕様となりました。これにより、このパネル穴サイズに準拠したラックでは様々なハンドルの取り付けができるようになりました。

これらヨーロッパ規格ハンドルが装着された海外製ラックが国内でも利用されるケースが増えたことから、国内ハンドルメーカからもこの規格に対応したユーロ平面ハンドルがリリースされました。そして現在は、ヒューレット・パッカードやシュナイダーエレクトリックなど、海外メーカの標準ラックや一部の国産ラックでヨーロッパ規格のパネル穴が採用されています。これにより、同規格対応のハンドルであればハンドルメーカを問わず交換できるようになり、電子錠対応ハンドルやシリンダ交換対応ハンドルの装着などカスタマイズの幅が広がりました。

液冷サーバ・ラックの電子錠対応カスタマイズ
最先端のデータセンターでは、冷水配管を施して直接液冷方式(Direct Liquid Cooling)のサーバに対応したサービス提供が開始されています。このサービスでは、データセンター設備である冷水配管をサーバメーカの液冷サーバ用ラックに接続することで液冷システムが機能し、高効率なサーバ冷却が可能になります。このため、データセンターがハウジングサービス用に提供するラックは使用できず、サーバメーカ製の液冷システム用ラックの設置が必要になります。このとき課題の一つとなるのが、ラック扉の鍵管理です。通常、サーバメーカの標準ラックは電子錠ハンドルではないため、ラック電子錠サービスを提供しているデータセンターでは液冷対応ラックの鍵管理が他のラックと共通化できなくなります。具体的には、ICカードによるラック解錠ができなくなります。このような場合、液冷サーバ用ラックを電子錠対応にカスタマイズすることで問題解決できます。例えば米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の液冷サーバ搭載ラックではヨーロッパ規格のハンドルが標準装備されているため、電子錠対応ハンドルへの交換が可能で、電子錠サービスを標準とするデータセンターのラックセキュリティ・ポリシーに準拠した液冷サーバの利用が可能になります。
扉センサの取り付け
電子錠システムでは、マグネットスイッチで扉の開閉を監視します。扉開閉管理だけではなく電子錠ハンドルの解施錠制御にもこの扉開閉信号を使用するため、扉センサの取り付けは必須となります。扉センサの取り付け位置が適切でない場合、抉じ開け検出(ハンドル解錠していないにも関わらず、扉センサがOFFとなり扉開状態となった)が発報されるなどの誤動作が生じます。このため、一定の位置調整ができる扉センサ取り付け金具を使用して取り付けます。この金具に扉センサをネジ固定し、金具は高耐久性の強力両面テープやネジ等でラック本体に固定します。

リア扉が観音開き式のサーバラックでは、リアの左右各扉に扉センサを取り付けて直列に接続します。つまり、左右2つの扉が共に閉じている状態で扉閉と判断されるように接続します。

米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)製ラックの電子錠対応カスタマイズ例
※TED長崎製ラック内電子錠ハーネスを使用
電子錠管理ユニット
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電子錠管理ユニット・ハイエンドモデルRMS-EL128
特許出願中カード認証・電子錠制御の冗長構成に対応。クラウドサーバ、親機(2台)、各ラックに配置する子機(128台)で構成され、ダウンタイムを最小化します。
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電子錠管理ユニット・スタンダードモデルRMS-EL48RRMS-EL24R/RMS-EL12R
電子錠追加スタンドアロン構成によるスモールスタートが可能(240ラックまで)。GoriRackサーバ導入で各種ICカードやQRコード認証に対応、入退室管理システム連携も可能。