Zabbixによるセンサ機器監視

Zabbix

Zabbixによる無人局舎の設備監視

Zabbixとは何か?

オープンソースソフトウェア(OSS)の統合システム監視ソフトウェアであり、ネットワーク監視、サーバ監視の他、様々なネットワーク機器のステータスを監視できます。現在はZabbix社によって開発が継続されています。マルチベンダーの多種多様な機器とサービスレベルの監視に広く利用され、テンプレートを活用することで大規模環境も短期間で構築できることから、センサ機器や設備故障信号などの大規模監視での活用例が多数あります。

また、Zabbixプロキシをご利用いただくことで、インターネットを経由してZabbixサーバに監視データを送信することができます。ファイアーウォール越しで多拠点に存在する無人設備の分散監視を行い、中央監視室でZabbixサーバを使用した一元監視を実現できるため、人員とコストの削減を図ることが出来ます。

設備監視にZabbixが利用される理由

設備故障などの警報発生場所が地図やフロアマップなどに表示されるビジュアル監視ツールは、監視者のスキルに関係なく運用ができ大変便利です。これに加えて業務にマッチした集計機能(電力量集計など)や帳票機能があれば業務効率化に有効です。しかし、これらマップによるビジュアル監視や帳票機能など特定業務向けの機能が不要な場合には、高機能でありながらOSSのため費用を抑えることができる高機能なZabbixが好まれます。

弊社製品 RMSシリーズは全ての機種で拡張MIBが公開されており、OIDを持つ各接点/センサデータをSNMPプロトコルで送信、Zabbixサーバにて取得/監視/閾値判定/警報/通報という一連のフローを一括で設定することができます。また、RMS製品のWeb設定画面から注意閾値/警報閾値/SNMPトラップ送信の設定が可能ですので、ZabbixサーバのアイテムでSNMPトラップを取得することで、アクティブ監視を実現します。

RMS-DIO9632とZabbixのシステム構成例

RMS-DIO9632とは…

通信インフラ設備のリモート監視に最適化されたキャリアグレード接点監視装置で、1Uサイズに128点の接点入力を有し、そのうち32点は接点入出力制御に対応しています。オプションのアナログ入力モジュール/RMS-AI08を連携させることで、4-20mA/±10Vのアナログ信号の監視を行うことができます。また、温度センサ/湿度センサをデイジーチェーン接続することで、温度/湿度の監視も行えるなど多様なセンサ情報を一元管理することができます。

Zabbixとの連携について…

RMS-DIO9632はSNMP対応のネットワーク機器のため、空調機/UPS/消防設備などの稼働状態、温度/湿度、アナログ入力などの収集した値をZabbix上で一元監視することができ、監視コストや人員の削減に繋げることができます。また、接点出力機能を有しているので設備機器に異常が発生した際には、Zabbixのアクション設定からスクリプトを実行することで機器の制御を行えるため、無人設備の監視+制御を実現します。

RMS-DIO9632のMIBについて

MIBとは…

MIB(Management Information Base)とは、SNMPプロトコルに対応したネットワーク機器のリソース情報やメーカー独自のセンサ情報を管理するためのデータベースです。MIBに格納されたデータはツリー構造で保存され、この階層構造はMIBツリー(オブジェクトツリー)と呼ばれます。

標準MIBと拡張MIBとは…

MIBには標準MIBと拡張MIBが存在します。標準MIBは業界標準規格で、メーカー独自の機器情報ではないネットワーク機器のシステム情報やインターフェイス情報などが画一的に定義されています。対して拡張MIB(プライベートMIB)は、各メーカーがネットワーク機器固有の情報を設定したMIB規格を指します。

OID/シンボル名とは…

MIBに保存されたオブジェクト(各種データ)には、OID(Object IDentifier)と呼ばれる一意の識別子が振り分けられています。MIBに格納された各オブジェクトには、OID(数字とドットで表記)とともにシンボル名(名称で表記)が割り振られていて、OID/シンボル名をZabbix等の監視ソフトウェアで指定することにより、ネットワーク機器の情報を取得することできます。

「ネットワーク機器のホスト名に対応したOIDとシンボル名の場合」
OID:1.3.6.1.2.1.1.5
シンボル名:sysName

RMS-DIO9632のMIBの特徴…

RMS-DIO9632はSNMP v1/v2cに対応、デジタル入出力/アナログ入力/1-wire 温湿度入力を有していて、MIB構成は以下の通りです。*()内の数字はOIDを表しています。

iso(1).org(3).dod(6).internet(1).private(4).enterprises(1).tedn(20374).rmsdio9632(21)

RMS-DIO9632の拡張MIBは、sysInfo(1)配下にシステム/ネットワーク/メール設定など管理者設定情報を格納、boardInfo(2)配下にデジタル入出力/アナログ入力/温湿度センサの監視情報を格納、notification(3)配下に各種入力のトラップ送信情報を格納しています。RMS-DIO9632の設定画面から各入力/センサのポートごとに閾値を設定することで、注意閾値/警報閾値を超えた際にZabbixサーバ等の監視システムに対して、SNMPトラップを送信することができます。

Zabbixテンプレートを使用した初期設定

テンプレートファイルについて

Zabbixでは、登録されたアイテムやトリガーなどの設定情報をxml形式のテンプレートファイルとしてエクスポートすることが可能です。抽出したテンプレートファイルをZabbixサーバにインポートすることにより、ワンクリックでアイテム設定やトリガー設定等を適用することができますので、多拠点に監視機器を導入する際、設定作業時間を大幅に短縮することができます。1つのホストに対して複数のテンプレートを適用することもできますので、用途のサーバごとにテンプレートを組み合わせて、1つのテンプレートファイルとしてエクスポートすることも可能です。また注意点として、新しいバージョンのZabbixサーバで作成したテンプレートファイルを古いバージョンのZabbixサーバに適用することはできません。

  • 〇Zabbix4.0で作成したテンプレートファイルをZabbix5.0に適用
  • ×Zabbix5.0で作成したテンプレートファイルをZabbix4.0に適用
  •   
xml形式のテンプレートファイル
テンプレートに含めることができる設定情報
  • ・アイテム(監視対象である個別のセンサ登録設定)
  • ・アプリケーション(アイテムのグループ化設定)
  • ・トリガー(障害/復旧の検知設定)
  • ・グラフ(複数のセンサデータを重ねたカスタマイズされたグラフ設定)
  • ・ユーザー定義マクロ(アイテムやトリガーで利用できる変数の設定)
  • ・ローレベルディスカバリー(アイテムやトリガーの自動生成機能の設定)
  • ・ホストスクリーン(ホストごとにグラフやマップを一覧で表示させる設定)
  • ・Web監視(HTTPアクセスを行ったWebページの監視設定)
テンプレートの利用

Zabbixサーバにテンプレートファイルをインポートした後、ホストにテンプレートを適用することで利用することができます。ホストにリンクされたテンプレートの追加/削除は、各ホストの設定画面にてホスト単位で設定を行います。また、ホストの一覧画面から「テンプレート」項目で適用されているテンプレートを確認することができます。

テンプレートの削除

ホストに適用したテンプレートを削除したい場合、ホストの設定画面からリンクを削除することができますが、以下2つの削除方式があります。
 1.リンクを削除
 2.リンクと保存データを削除

「リンクを削除」ボタンを押した場合、ホストにリンクされたテンプレートは解除されますが、継承されたテンプレートのアイテムやトリガー等の設定はホストに設定されたまま残ります。また、収集されたアイテムの監視データも削除されません。 一方、「リンクと保存データを削除」ボタンを押した場合、テンプレートは解除され、テンプレートに含まれるアイテム等の設定は削除されます。また、収集された監視データも削除されます。

RMS製品のZabbixテンプレート

弊社では、RMS-4000のZabbixテンプレートファイルを提供しています(ページ下部からダウンロードできます)。テンプレートファイルには、RMS-4000で利用可能な全センサ値のアイテム設定、アプリケーション設定、トリガー設定の基本設定が含まれていますので、製品導入時からすぐにZabbixと連携してご利用いただけます。

アイテム設定

トリガー設定

ZabbixテンプレートファイルとSNMP MIBマニュアル

RMS製品のZabbixテンプレートファイルはこちらからダウンロード。
RMS-4000テンプレートファイル

●監視対象:

温度センサ、湿度センサ、メッシュ無線温湿度センサ、接点信号、アナログ信号(DC4-20mA、DC±10V)、交流電流センサ、交流電力、マルチメータ

RMS製品のSNMP MIBマニュアルはこちらからダウンロード。
RMS-4000 MIBマニュアル

RMS-CU80 MIBマニュアル
RMS-DCU44 MIBマニュアル
RMS-AI80 MIBマニュアル
RMS-DIO80 MIBマニュアル
RMS-DIO9632 MIBマニュアル

マップからの接点制御

Zabbixではネットワークマップを作成することができ、ホスト、ホストグループ、トリガー、イメージやスクリプトの実行をマップに入力・表示させることができます。


RMS-4000シリーズでは、接点監視・制御機能を備えた機器をラインナップしています。以下製品をZabbixと連携してご使用いただくことで、Zabbixのマップ上から接点制御を行うことができます。
設備機器の監視については以下のページをご参照ください。
接点伝送・接点監視装置によるレガシー機器のIP監視



●接点監視・制御機器

マップからの接点制御設定

RMS-4000シリーズでは、ユニット内蔵WebアプリやSNMPマネージャ(Zabbix等)を使用して、接点入力信号を遠隔監視、対象機器へ接点出力信号を遠隔制御することができます。Zabbixのマップ上から接点制御を行う方法については、RMS-4000を使用した例で以下に記載しています。



1. RMS-4000のSNMP設定

RMS-4000のweb画面にてSNMPトラップ送信設定を行います。RMS-4000のweb画面にログイン後、「管理者設定」>「SNMP設定」より、SNMPアクセスを行うための設定を行うことができます。

SNMP設定画面

ネットワーク:ZabbixサーバのIPアドレス
コミュニティ名:public

2. ZabbixのWeb画面にてスクリプトの作成を行う

Zabbix「管理」>「スクリプト」>右上「スクリプトの作成」ボタンをクリックして、新規に2つのスクリプトを登録します。スクリプトの名前を入力し(例 ”ポート1のON”)、コマンド欄に任意のポートをONに切り替えるためのコマンドを記載します。

スクリプトの名前:ポート1のON snmpset : SNMP-Set命令のコマンド※
-v 2c : SNMPバージョン指定
-c public : RMS-4000に設定したコミュニティ名
192.168.81.117 : RMS-4000のIPアドレス
1.3.6.1.4.1.20374.17.2.1.1.3.9 :
デジタル出力ポート(出力ポート1番目)の操作OID
i 1 : 値1 (ON制御)

任意のポートをOFFにするためのコマンドを記載します。


csnmpset : SNMP-Set命令のコマンド※
-v 2c : SNMPバージョン指定
-c public : RMS-4000に設定したコミュニティ名
192.168.81.117 : RMS-4000のIPアドレス
1.3.6.1.4.1.20374.17.2.1.1.3.9 :
デジタル出力ポート(出力ポート1番目)の操作OID
i 0 : 値0 (OFF制御)
ホストグループに含まれるすべてのホストに対して、作成したスクリプトのメニューが表示されるようになります。(5. マップからスクリプトを実行するを参照)

3. ZabbixのWeb画面にてRMS-4000のホストを登録する

Zabbix 「設定」>「ホスト」でRMS-4000のホストを登録します。(*既存のホストを利用する場合、新規ホストの登録は必要ありません。)
「ホストの作成」画面でインターフェイスの追加をクリックすると、以下のメニューが表示されますので、SNMPを選択します。SNMPのIPアドレス欄にはRMS-4000のIPアドレスを登録します。


追加をクリック
SNMPを選択する

SNMP:RMS-4000のIPアドレス

4. ZabbixのWeb画面にてマップ上にホストを追加する

Zabbix「監視データ」>「マップ」>右上「マップの変更」ボタンをクリックし、編集画面からホストの追加・編集作業を行うことができます。ホストを追加するには、アイコン:追加をクリックした後、「更新」をクリックすることで更新されたマップが表示されます。

アイコン:追加をクリック

登録したホストを指定する。

5. ZabbixのWeb画面にてマップ上からスクリプトを実行する

マップ上のホストを左クリックすることで、以下図のメニューが表示されます。メニュー内の「ポート1のON」「ポート1のOFF」をクリックすることで、snmpsetコマンドが送信され、接点のON/OFFをZabbixから切り替えることが可能となります。


「ポート1のOFF」
「ポート1のON」

当社では、標準製品をベースに、お客様のご要望に応じてカスタマイズを受け付けております。

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