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札幌テレビ放送株式会社様
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本事例で採用された製品・ソリューション
- 多点接点監視・制御ユニット
「RMS-DIO9632-PI」
「RMS-DIO4816-PI」 - アナログ入力モジュール
「RMS-AI08」
- 多点接点監視・制御ユニット
HOTnet「S.T.E.P SC2クラウドサーバ」×アプコット「Packet Caster」に
遠方監視制御装置「RMS-DIO9632-PI」を連携した送信所監視システムを構築
- ネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット 業種:放送
- PDFファイル
近年、放送業界では経営合理化のため、テレビ中継局の共同利用などの施策が進められています。北海道の札幌テレビ放送(以下、STV)も例外ではなく、道内民放5社と共同システムを構築するなど、新たな取り組みに踏み出しています。そこで課題となったのが、同社のラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの刷新です。導入コスト削減と将来的な汎用性を確保するためSTVが選択したのが、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS-DIO9632-PI/4816-PI」、アナログ入力モジュール「RMS-AI08」でした。
開発・導入前の課題
- ■ラジオ中継局の遠隔監視・制御システム更新にかかるコストを抑制したい
- ■各種センサからの情報をSNMP化し、汎用的なIP環境で統合管理できるようにしたい
ソリューションの利点
- ■ネットワーク対応の多点接点監視・制御ユニットとアナログ入力モジュールの導入により、コストを抑制しながらも拡張性に優れたラジオ中継局の監視制御システムを実現
- ■東京エレクトロンデバイス長崎によるソフトウェア・カスタマイズにより、従来同様の運用体制を維持
導入後の効果
- ■従来と同様の運用監視体制を確保しながらも、初期導入コストを削減。将来的な拡張性も確保
- ■1Uサイズのコンパクトな機器設計により、設置や交換時の負担を大幅に軽減
テレビ送信機の更新に合わせ
ラジオ中継局の監視・制御システムの更新が急務に
北海道を主な放送対象エリアとして、情報番組の「どさんこワイド179」や「どさんこワイド朝」をはじめ、野球、サッカー、スキージャンプといったスポーツ中継など、長年に亘って地域に根付いた番組制作を手掛けてきたSTV。中でも、スキージャンプなどのウィンタースポーツ中継では長年の制作実績が高く評価され、ワールドカップ国際映像の制作にも携わっています。
その同社における喫緊の課題が、2006年の北海道地区における地上デジタル放送開始と共に運用を開始したテレビ送信機が、更新時期を迎えていたことでした。総務局経営企画部マネージャーの原敏志氏は「新たな送信機への更新に合わせて、放送設備や電源設備を遠隔監視・制御するシステムの切り替えも急務となっていました。しかし、設備更新にかかる巨額の投資や、24時間365日稼働が必要な運用コストが大きな負担になっていました」と説明します。
そこで同様の課題を抱えていた道内の民放5社で共同利用可能なクラウド型の遠隔監視・制御システムの構築を決定。2024年11月からクラウドシステムを利用した送信所監視が開始されています。
そうした中、新たに浮上した課題が、STVのグループ会社であるSTVラジオの中継局の遠隔監視・制御システムの更新でした。「テレビとラジオの中継局の遠隔監視・制御システムは1つのシステムに集約されていたため、同時に更新する必要がありました。しかし、ラジオ中継局はSTVが単独で保有・運用している設備のため、当社だけでシステムを更新しなければならなかったのです。さらに、従来のオペレーションを維持しつつ、導入費用を抑制できるシステムが求められていました」(原氏)
これらの課題を解消する方策としてSTVが選択したのは、放送・電源機器等から取得される接点とアナログ信号をSNMP変換し、既存のIPネットワーク上に統合可能な製品の導入でした。技術局技術計画部の大竹知幸氏は、「SNMPに対応した汎用的な機器を導入することで、初期投資の抑制だけでなく、運用コストの削減、そして拡張性も担保できると考えたのです」と話します。
この方針に基づき、ラジオ中継局の遠隔監視・制御装置の選定に着手。具体的な要件として「監視で最大128点、制御で48点をサポートする接点数を実装していること」、「アナログ値で0~1Vレンジの値を計測可能であること」、「テレビ中継局の新遠隔監視・制御でも利用されている株式会社アプコット製のシステム『PacketCaster』とのSNMP通信が可能であること」を定めました。
「加えて、ハードウェアのカスタマイズにかかるコストの抑制と、将来的な管理負担の軽減を見据え、可能な限りカスタマイズを施さない方針としました。」(大竹氏)
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札幌テレビ放送株式会社
総務局経営企画部マネージャー
原 敏志 氏 -
札幌テレビ放送株式会社
技術局技術計画部
大竹 知幸 氏
札幌テレビ放送株式会社

- 本 社
- :札幌市中央区北1条西8丁目1番地1
- 資 本 金
- :7億5千万円(2024年3月31日現在)
- 従業員数
- :215名(2024年3月31日現在)
- U R L
- :https://www.stv.jp
札幌テレビ放送様におけるRMSシリーズを使った監視環境構成図

STVの課題を解決する要件をすべて満たした多点接点監視・制御ユニットRMSシリーズを選択
調査と検討の結果、最終的にSTVが選択したのが、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS-DIO9632-PI/4816-PI」、そしてアナログ入力モジュール「RMS-AI08」です。これらを選定した理由について大竹氏は、「先に掲げた要件をすべて満たしていたことに加え、AC/DCで選択可能な電源の二重化を備えていたこと、1Uで収まるコンパクトなサイズなどの優れた機能性を評価しました」と語ります。
また、東京エレクトロンデバイス長崎が、幅広い業種において設備監視・制御のSNMP対応で数多くの実績を有していたこと、そして親身なサポートも導入決定を後押ししたといいます。
「運用上必要と考えた機能のカスタマイズについて相談したところ、ソフトウェアの改修のみで対応可能であると回答してもらえ、ハードウェアの設計を変えることなく、当社の要望に合致した設計が実現できました」と大竹氏は評価します。
具体的には、本社と現地間の回線に異常が発生した時にも放送を継続できるようなフェイルセーフ機能のほか、以前の遠隔監視・制御システムと同様に、異常状態が一目で分かるLED表示などの機能が新たに追加されています。
なお、導入に先駆けて実機を用いた検証も行われました。「異なるメーカーのシステムを汎用プロトコルで接続するため、意図しない挙動をした時の原因の切り分けが難しく、調査に苦労したこともありました。そうした中、東京エレクトロンデバイス長崎には都度、親身なサポートを寄せてくれ、疑問点や問題点を迅速に解決できました」と、大竹氏は振り返ります。
当初の目的通り導入コストを削減、今後は運用負荷の抑制にも期待
RMSシリーズを活用した遠隔監視・制御システムは、2025年1月から順次、道内のラジオ中継局への導入、稼働が開始されており、2026年3月には16か所の中継局への設置が完了する予定です。
最大監視数128点、制御数48点が必要な中継局3局についてはRMS-DIO9632-PI/4816-PIを各1台ずつとし、残りの13局についてはRMS-DIO9632-PIを1台導入していく計画です。これらの組み合わせにより、必要十分な機器構成が実現されています。
RMSシリーズからのデータは、北海道総合通信網株式会社(HOTnet)が提供する「S.T.E.PSC2クラウドサーバ」を経由し、さらにPacketCaster上で統合管理されています。主な監視項目は送信設備や受配電設備、発電機などの動作状態、故障通知などです。また、異常発生時には、Packet Caster上の機能から、システムの異常箇所、動作ログ、時系列のテレメーターの状況が確認できます。
今回のシステム刷新によって得られたメリットの1つが、導入コストの削減です。大竹氏は「従来の機器を導入した場合と比較して、大幅なコスト削減を実現できました」と評価します。
運用におけるさまざまな利便性向上や負担軽減も期待されています。原氏は、「RMSシリーズ自体がWebUIを備えているため、万が一クラウド上の監視制御サーバがダウンしても、継続して監視制御可能であることも、大きなメリットです」と話します。また、従来は5Uサイズだった機器が最大2Uサイズにコンパクト化されたことで、運搬や設置等の負担軽減に貢献すると評価しています。
最後に原氏は、「経営効率化を目的とした放送業界の再編が進む中、今後、システム統合もますます加速していくと予期しています。そうした中、STVはSNMPに対応した機器の採用により、将来的なシステム統合にも柔軟に対応可能な仕組みを実現できました。今回の取り組みを機に、遠隔監視・制御システムの汎用プロトコル化の普及推進に貢献していきたいと考えています」と、今後の展望を語りました。
- STVラジオ送信所
- ラジオ送信機
本案件で導入された製品
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電源二重化対応 接点監視・制御ユニットRMS-DIO9632RMS-DIO4816
NEW接点入力128点(入力専用96点+入出力兼用32点)を遠隔監視・制御するユニットです。アナログ信号入力の拡張可能。
AC100V/200V 、DC48V 冗長電源対応のキャリアグレードモデル。 -
アナログ入力モジュールRMS-AI08
計装入力信号(4~20mAや1~5Vの直流信号)をWebアプリやSNMPマネージャから遠隔監視します。8chの小型モデル。
【札幌テレビ放送株式会社のご紹介】
札幌テレビ放送は、1958年に創立した「日本テレビ」ネットワークの放送局です。放送メディアを通じて北海道民に良質な情報を送り届け、長年に亘り北海道の発展に貢献してきました。近年では、地上波放送だけでなくBSでの放送、インターネットでの配信展開など、「北海道発」のコンテンツを最適な「メディア」を通じて発信する「総合メディアコンテンツ企業」へと進化しています。
札幌テレビ放送株式会社HP