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株式会社 ジオ技術研究所様
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本事例で採用された製品・ソリューション
- 多点交流電流監視ユニット
「RMS-CU80」
- 多点交流電流監視ユニット
80回路をサポートする多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」を導入し、
Zabbixとの連携でサーバルームの電流測定・監視の大幅な効率化を達成
- 多点交流電流監視ユニット 業種:情報通信
- PDFファイル
株式会社ゼンリンのグループ企業として、3D地図の製造・販売・研究開発を手掛けるジオ技術研究所。同社において課題として浮上していたのが、サーバルームにおけるブレーカトリップの発生を防止するための、電流監視システムの構築でした。その実現に向けて、ジオ技術研究所は、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売する多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」を導入。オープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix」との柔軟な連携により、サーバルームの消費電流の常時監視とログ管理を実現しました。
開発・導入前の課題
- ■サーバルームの常時電流監視を行うことで、ブレーカトリップによる機器障害の発生を回避したい
- ■これまでクランプメータを用い、人手によって行われていた電流測定をシステム化したい
ソリューションの利点
- ■1台で80接続をサポートする多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」の導入により、低コストで運用管理性に優れた電流監視システムを構築
- ■東京エレクトロンデバイス長崎が提供する「Zabbixテンプレート」により、監視システムの開発にかかる工数を大幅に抑制
導入後の効果
- ■常時サーバルームの消費電流を測定・記録、ダッシュボードを介して電流の状況が素早く確認可能に
- ■電流や、消費電流値のログを用いて傾向を把握、分析することで将来的な設備増設時の計画策定にも活用
サーバルームのブレーカトリップによる機器障害防止に向け電流監視装置の導入に
ゼンリングループにおける3次元地図専門の研究開発企業として、2001年に設立されたジオ技術研究所。調査から製造まで独自に研究開発した技術を駆使し、日本国内の3次元デジタル地図の製造を手掛けています。管理部 部長の三村幸雄氏は、「当社が製作した3次元地図は、多くのカーナビゲーションシステムで交差点詳細図として利用されています。また、20年以上に亘って培ってきた3次元に関する豊富な知見を活かし、近年ではAIや点群等、最先端の技術を活用しながら様々な分野に向けたソリューションを提供しています」と説明します。
同社において課題として浮上していたのが、サーバルームにおけるブレーカトリップの事前防止でした。サーバルームでは、ドメインサーバや業務用サーバ、3次元地図に関するデータを保管・管理しているデータベースサーバ等のサーバ機器をはじめ、地図データ更新のためのバッチ処理等、様々な作業を行うワークステーション群、そしてNAS、ネットワーク機器などが稼働しています。「これまではサーバやワークステーションの新規増設を行う場合、十分な電源容量を供給できるのか、また、ブレーカの許容値を超えないためには、どのコンセントに機器の電源を接続すればよいのか、クランプメータを使って実測、確認を行っていました」と社内インフラ管理を担っている管理部リーダーの前口智史氏は説明します。
しかし、クランプメータでは計測時点の実測値しか分からず、機器の突入電流や処理状態に応じて消費電流が変動します。そうしたことから、最大消費電流値の正確な数値が不明であったほか、おおよその見立てで追加機器の電源接続を行わざるを得ませんでした。そのため、2度ほどブレーカトリップが発生したこともあったといいます。
「実際にブレーカトリップが発生してしまうと、UPSを介していない機器へのダメージが生じるだけでなく、地図データの更新処理を行っていたならば、作業が中断し、手戻り作業も発生してしまいます。そうした事態を回避するために、以前から、1台で多くのセンサ(ブレーカ回路)をサポートする電流監視装置の導入を検討していました」(前口氏)
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株式会社ジオ技術研究所
管理部 部長
三村 幸雄 氏 -
株式会社ジオ技術研究所
管理部リーダー
前口 智史 氏
株式会社ジオ技術研究所

- 本 社
- :福岡県福岡市博多区博多駅南1-14-10 ゼンリン博多ビル
- 資 本 金
- :2億円
- 従業員数
- :56名(2025年4月1日時点)
- U R L
- :https://www.geogiken.co.jp/
ジオ技術研究所様の監視システムの構成図

80回路をサポートする多接続性とZabbixとの連携実績を評価し
多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」を選択
ジオ技術研究所はオフィス移転を契機にサーバルームの再構築に着手、併せて電源監視システムの導入を決断します。複数の製品を比較検討した結果、最終的に選択されたのが、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売する多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」でした。RMS-CU80は80回路をサポートする、実効値対応の多回路電流監視ユニットです。真の実効値タイプであるため、平均値タイプでは誤差が生じる歪んだ波形でも正確な電流を測定できます。また、クランプ型電流センサであるため、サーバルームやデータセンター等の多回路分電盤に対して、電源を遮断することなくリモートからの監視が可能です。さらにWebUIを用いたスタンドアロン構成でのモニタリングに加え、SNMPマネージャを介したサーバ構成でのモニタリングが可能で、多様なシステム構成に対応できます。
RMS-CU80を選定した理由について前口氏は、「他社製の電流監視装置と比較して、RMS-CU80は80回路という多くのポートを1台の機器でサポートしており、コストパフォーマンスと運用管理性に優れていたことを評価しました」と語ります。
「また、既に社内ではネットワーク機器のトラフィックログの取得・表示でオープンソース統合監視ソフトウェア『Zabbix』を利用していたのですが、RMS-CU80であれば、定期的に計測したアナログ入力値もSNMPに変換、Zabbixで統合監視が行えるようになると勘案しました。東京エレクトロンデバイス長崎がZabbixテンプレートを提供していたため、それを活用することで設定工数を削減できることも採用の理由となりました」(前口氏)
電流測定にかかる時間とリスクを削減
ログ分析で機器増設計画にも活用可能に
ジオ技術研究所は、東京エレクトロンデバイス長崎からRMS-CU80の評価機を提供され、導入に向けた現地での確認作業を実施。設置場所から配線の方法、センサ配線の取付け順の調整などを設置業者と確認した後、実導入を決定します。
2024年8月よりRMS-CU80の本番運用が開始されましたが、1台で約80回路のブレーカに対して消費電流・電力の記録が行われています。
「RMS-CU80とZabbixの連携により、常時サーバルームの消費電流が記録されており、同ツールのダッシュボードを介して電流の状況も素早く確認できるようになりました。また、トラブルに備えて電流量が閾値を超えた場合には、RMS-CU80本体からアラートメールを送信する仕組みも構築しています」(前口氏)
「電流の状況が常時ログ化、グラフ上で分かりやすく表示されるようになったことで、どの接続コンセントにおいて消費電流が多いのか少ないのかが一目で把握できるようになりました。また、現地に赴きクランプメータで電流測定していた頃と比べると、数分で消費電流を確認可能となったため、作業時間が大幅に短縮しています。さらに人手による電流測定を行わなくて済み、感電等のリスクもなくなりました」と前口氏は語ります。
三村氏も「先にも述べたように、ブレーカトリップによる電源遮断が発生した場合、稼働中のワークステーションに多大な影響を及ぼしかねません。対して、RMS-CU80の導入により、ブレーカトリップによるトラブル発生のリスクを回避できたことは最大のメリットと考えています。また、新規ワークステーションを導入・設置する際にはどのコンセントに接続すればよいのか、利用部門からの問い合わせにすぐに回答できるようになっています」と評価します。
現時点ではブレーカトリップの発生による障害の未然防止といった、システム監視がRMS-CU80の主な用途ですが、今後は測定した消費電流値のログを蓄積、過去から現在に至る傾向を把握することで、将来的な設備増設時の計画にも活用していきたい考えです。
東京エレクトロンデバイス長崎のサポートのもと、RMS-CU80の導入によりサーバルームの詳細な電源管理を実現したジオ技術研究所。三村氏は、「引き続き東京エレクトロンデバイス長崎には、電流監視だけでなく、ジオ技術研究所の課題解決や業務効率化を支援するソリューションの提供や提案を期待しています」と語りました。

本案件で導入された製品
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多点交流電流監視ユニットRMS-CU80
実効値対応の多点交流電流監視ユニットです。電流センサ種別をセンサCH毎に設定でき、様々な電流監視システムを構築できます。
【ジオ技術研究所のご紹介】
株式会社ゼンリンのグループ企業として、2001年設立。3次元地図専門の研究開発会社として、調査から製造まで独自に研究開発した技術を用いて、日本国内の3次元デジタル地図の製造を行っています。20年以上という3次元に関する豊富な知見を活かし、最先端の技術(AI、点群など)を活用しながら様々な分野に向けたソリューションを提案しています。
株式会社ジオ技術研究所HP