導入事例

CASE STUDY

九州電力送配電株式会社

本事例で採用された製品・ソリューション

センサマネジメントユニット
RMS-4000
直流電流監視ユニット
RMS-DCU44

センサマネジメントユニット「RMS-4000」と
オープンソース監視ソフトウェア「Zabbix」を活用した
通信設備のセンサ監視を実現し、保全業務を効率化

  • センサマネジメントユニット 業種:電気・ガス
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安定した電力の供給に向け、送配電設備の保全業務の高度化・効率化を積極的に推進する九州電力送配電。その一環として行われたのが、各種センサデータを活用した、リモートからの巡視点検です。この取り組みを実現に導いたのが、オープンソースソフトウェア(OSS)の統合システム監視ソフトウェア「Zabbix」と、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するセンサマネジメントユニット「RMS-4000」を組み合わせた設備監視システムでした。

導入前の課題
  • ■変電所・無線中継所の通信設備の巡回監視業務を高度化・効率化したい
  • ■複数のセンサからの情報を集約しSNMPに変換、IP環境で統合管理したい
ソリューションの利点
  • ■監視ソフトウェアとセンサマネジメントユニットの組み合わせで、コスト抑制と通信設備の統合監視が可能な環境を実現
  • ■東京エレクトロンデバイス長崎が提供するZabbixテンプレートの活用により、監視システムの設計・開発に要する時間と工数を大幅に抑制
導入後の効果
  • ■遠隔地にある施設・設備に対してリモートからでも情報が収集可能となり、巡回監視業務を効率化
  • ■施設・設備の状況がリアルタイムで把握可能となり、災害発生に際してもいち早い対策が可能に
複数のセンサを統合的にリモートから監視し
保全業務の効率化を目指す

九州電力送配電は、九州7県を供給区域とする一般送配電事業者です。送電線や変電所、配電線といった設備を維持・運用するとともに、発電事業者や小売電気事業者に対して送配電サービスを提供しています。
そうした同社では、電力のさらなる安定供給を維持するため、送配電設備の保全業務の高度化・効率化のための様々な施策を進めています。

「近年は保全業務のDX化に積極的に取り組んでおり、ドローンやカメラ、IoTセンサなどの先端技術を用いた設備情報の取得や、それらの情報を収集するための大容量・高速ネットワークの構築、さらには画像解析やAI等を活用した設備の劣化を判定する手法の研究開発等も推進しています」(藤原氏)

そうした取り組みの一つとして行われたのが、電力保安に関わる通信設備の巡視点検の効率化です。変電所や無線中継所等には、電力保安のための通信設備、および非常時のバックアップ電源等の付帯設備が設置されています。これまでは、それらの設備の状態を点検したり、電圧や電流等の各種データを取得したりするために、定期的に担当者が現地に赴いて作業を行っていました。また、そうした定期的な巡視点検以外にも、台風や豪雨等の自然災害が発生した後にも、異常の有無を確認するために現地に向かうこともあるといいます。

「しかし、無線中継所の中には山間部に設置されているものもあり、道路状況の悪い中で現地に向かわなければならないなど、多くの移動時間や作業工数を要していました。また、通信設備の機器の中には遠隔から監視するためのツールもメーカーから提供されていましたが、専用ツールであるため、他メーカーの機器には転用できないこと、加えてライセンス料や保守費用等のコストが発生してしまうことも課題でした」(藤原氏)

九州電力送配電では、これらの課題を解消するため、遠隔地からでも通信設備の状態を監視できる仕組みの構築を模索していました。具体的には、通信設備の電流や電圧をはじめ、施設内の温度・湿度・地震・雨量・風量等のデータを、センサを通じてリモートで取得するとともに、それらのデータを統合的に監視可能なシステムの実現です。

  • 九州電力送配電株式会社
    系統技術本部
    通信技術グループ
    藤原 政彦 氏

  • 九州電力送配電株式会社
    系統技術本部
    通信技術グループ
    山本 寛 氏

九州電力送配電株式会社

所在地
:福岡県福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
資本金
:200億円
従業員数
:3,791名(2023年3月末)
URL
https://www.kyuden.co.jp/td_index

RMS-4000とZabbixを組み合わせた九州電力送配電様の監視環境構成図

OSSの監視ソフトウェア「Zabbix」と
センサマネジメントユニット「RMS-4000」を採用

先に述べた課題の解決に向け、九州電力送配電は複数のシステムを調査、比較検討を実施します。その結果、最終的に選択されたのが、オープンソースソフトウェア(OSS)の統合システム監視ソフトウェア「Zabbix」と、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するセンサマネジメントユニット「RMS-4000」、および直流電流監視ユニット「RMS-DCU44」を組み合わせた設備監視システムでした。

Zabbixを選んだ理由は、もともと、電力の保全業務で使用する通信インフラの監視用途として導入しており、その知見を有していたことがありました。また、OSSのZabbix であれば導入・運用コストを抑制できることに加え、ベンダーロックインを回避し、他の機器にも転用できる拡張性を確保できることも選択理由となりました。

「要件として、アナログ機器から取得される情報をSNMP変換したいと考えていました。そうすることで、既存のネットワーク監視システムと統合管理できるほか、その後の設備監視の拡張にも転用できるからです」(藤原氏)

そして、RMS-4000を選択した理由は、多種多様なセンサを接続可能であること、かつ、それらのセンサから得られたデータをSNMP変換することで、IPベースの監視システムに一元的に統合管理できることにありました。

「複数の機器を調査したのですが、電流、電圧、雨量、地震計といった多種多様なセンサが接続可能であり、かつ、アナログデータをIP化しSNMPで統合的に管理できる機器が、RMS-4000だったのです。これこそが私達が探し求めていた機器であると判断しました。そこで東京エレクトロンデバイス長崎に問い合わせを行い『社内検証を実施したい』との要望を伝えたところ、すぐに快諾頂き、評価機を貸し出してくれたことも好印象でした」(藤原氏)

東京エレクトロンデバイス長崎のサポートのもと、九州電力送配電は2022年3月からZabbixとRMS-4000を組み合わせた試験環境を社内に構築し、検証を実施します。

「PC上にZabbixによる監視システムを構築し、ネットワーク越しにRMS-4000を接続します。RMS-4000には4-20mA信号シミュレータを接続し、シミュレータからのアナログ信号がRMS-4000に取得され、Zabbix上に正しく表示されるか検証を実施しました。結果、アナログ値だった情報がIP化され、監視画面上でリアルタイムに参照できることが確認されました」(藤原氏)

並行してZabbixを利用した監視システムの画面の設計をはじめ、アラートが発生した場合の表示方法の設定、監視対象を地図上に表示させる仕組みなどの開発も進めていったといいます。

そして、設計にあたって大きな効力を発揮したのが、東京エレクトロンデバイス長崎が提供するZabbixテンプレートです。このテンプレートは、監視を行う際に必要となる、様々な設定情報の組み合わせを集約したものです。

「SNMPを用いた機器やセンサの管理を行うにあたっては、どのMIB値を設定すればよいのか調べなければなりません。しかし、数値情報の羅列であるMIB値を人が調べて設定するのはとても煩雑な作業です。対して、東京エレクトロンデバイス長崎から提供されるZabbixテンプレートを利用することで、煩雑な作業をすることなく、すぐにZabbixの設定を完了させられました。これにより、設定にかかる期間や工数を抑制できたと考えています」(山本氏)


リモートからの設備監視が可能に
監視対象施設の拡大も検討

現在、北九州の山間部にある無線中継所にRMS-4000、およびRMS-DCU44が設置され、電流、電圧、風速、雨量、地震などの状態が測定、監視されています。10分に一度、各種センサからの情報をRMS-4000が取得してZabbix監視サーバに送信、あらかじめ設定した閾値を越えた場合、アラートがあげられるような仕組みが構築されています。

Zabbix監視サーバはデータセンターに設置され、九州電力送配電本店および北九州支社から社内ネットワーク経由で監視サーバにアクセス、管理画面を通じた状態監視が可能となっています。

「例えばゲリラ豪雨に見舞われた際には、雨量センサからデータを取得し、現地の状況をリアルタイムで確認することができました」(山本氏)

現状では、一か所の無線中継所で先行運用中であるため、Zabbix、およびRMS-4000、RMS-DCU44の真の導入効果は、他の変電所や中継所など複数の施設に拡大した際に発揮されると、九州電力送配電は考えています。

「まずは社内研究成果発表会において、今回のシステム導入による成果をアピールしたいと考えています。そこで評価されれば、他の変電所や無線中継所への導入拡大が期待されます。先に述べたように、現在、保全業務の高度化・効率化に向けた通信インフラの構築が進められており、その進展に合わせて、今回の監視システムの導入拡大を提案するとともに、多種多様なセンサの活用による保全業務の高度化に貢献したいと考えています」(山本氏)


本案件で導入された製品
【九州電力送配電株式会社のご紹介】

2020年4月に九州電力株式会社から分社化されました。「九州にパワーを届け、社会を元気にする」という存在意義のもと、「信頼」 「進化」 「共創」の価値観を大切にした事業活動を展開し、「技術力とデジタル変革で、日本を代表する先進的なインフラ企業になる」ことを目指しています。

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