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京セラコミュニケーションシステム株式会社様
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本事例で採用された製品・ソリューション
- 交流電流監視ユニット
「RMS-CU80」 - 接点監視ユニット
「RMS-DIO80」 - 電子錠管理ユニット
「RMS-EL48R」
- 交流電流監視ユニット
東京エレクトロンデバイス長崎のサポートのもと、再生可能エネルギー100%で運営する「ゼロエミッション・データセンター 石狩」の電力監視とセキュリティ強化を実現
- 交流電流監視ユニット、接点監視ユニット、電子錠管理ユニット 業種:情報通信
- PDFファイル
京セラコミュニケーションシステムが北海道石狩市に建設し、2024年10月1日から運用を開始したのが、「ゼロエミッション・データセンター 石狩」です。常時再エネ100%を実現するさまざまな仕組みにより、企業が求める脱炭素化・SDGsへの取り組みを支援しています。同センターでは、東京エレクトロンデバイス長崎のサポートのもと、拡張性と柔軟性、そしてコストパフォーマンスに優れた、サーバラック周辺の電力監視装置や、セキュリティ確保のためのラック電子錠システムの導入を実現しました。
開発・導入前の課題
- ■電力の使用量を可視化することで、データセンターの利用企業にCO2削減効果を提示したい
- ■ラック電子錠システムの導入により入館時の証跡を取得するなど、セキュリティを強化したい
ソリューションの利点
- ■柔軟性に優れた交流電流監視ユニットで、コストを抑制しながら自社の管理ツールと連携可能な電力測定システムを実現
- ■東京エレクトロンデバイス長崎の手厚いサポートにより、自社にとって最適な監視システムと電子錠システムを構築
導入後の効果
- ■電力使用量のレポート化で、データセンター利用企業の脱炭素化の取り組みを支援
- ■必要な機能を備えた電子錠システムにより、サーバレスでの入退室管理を実現
国内初、24時間/7日間の常時再エネ100%で
運営するデータセンターを北海道石狩市に開設
京セラ独自の経営管理手法「アメーバ経営」を根幹に、「ICT」、「エンジニアリング」の事業フィールドでビジネスを展開する京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)。同社が北海道石狩市に建設し、2024年10月1日から運用を開始したのが、「ゼロエミッション・データセンター 石狩(以下ZED石狩)」です。
ZED石狩の特長は、再エネ電源の直接利用と電力の地産地活により、国内データセンターとして初※1となる24時間/7日間の常時再エネ100%利用で稼働していること。石狩湾新港洋上風力発電所の電力と、データセンターの近隣に新設したKCCS所有の太陽光発電所の電力を組み合わせた、「生グリーン電力」によりデータセンターを運用しています。加えて、AI技術と蓄電池の活用により、時間単位で電力需給をコントロール可能にするなど、再エネの活用に関して先進的な取り組みを行っています。
デジタルソリューション事業部 副事業部長の尾方哲氏は、「近年、多くの企業において脱炭素化への意識が高まっています。また、生成AIの普及に伴いGPUサーバの利用も急増し、データセンターの電力消費量はますます上昇しています。ZED石狩はそうした課題に対応し、再エネ100%により、企業のDX推進やAI活用における脱炭素化、SDGsへの取り組みを支援しています」と説明します。
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京セラコミュニケーションシステム株式会社
ICT事業本部デジタルソリューション事業部
副事業部長
尾方 哲 氏 -
京セラコミュニケーションシステム株式会社
ICT事業本部デジタルソリューション事業部
ゼロエミッション・データセンター
データセンター開発 チームリーダー
高本 紳也 氏
京セラコミュニケーションシステム株式会社
- 本 社
- :京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6
- 従業員数
- :4,400名(2024年3月末現在)
- U R L
- :https://www.kccs.co.jp/

ゼロエミッション・データセンター石狩の外観
京セラコミュニケーションシステム様における監視環境構成図

電力監視と電子錠管理にRMSシリーズを導入し、ベンダーロックインを回避した設備の拡張性を確保
ZED石狩はサーバラック周辺の電力監視装置をはじめ、セキュリティ確保のための電子錠システムなど、さまざまな設備を導入しています。東京エレクトロンデバイス長崎によって提供されたそれらのシステムは優れたコストパフォーマンスを有するとともに、ZED石狩に高い柔軟性と拡張性をもたらしています。
電力測定のためのシステムとして活用されているのが、交流電流監視ユニット「RMS-CU80」です。デジタルソリューション事業部 データセンター開発 チームリーダーの高本紳也氏は、「電力測定の目的は、電力の使用量に応じて電力料金の従量課金を行いたかったこと。そして、実際の電力使用量をCO2排出量で換算した場合、一般的なデータセンターと比較してZED石狩がどれほどの削減効果をもたらしているのか、可視化して利用企業に提示することにありました」と振り返ります。
「そこで、サーバラック上部に設置される給電用のバスダクトを通じて電力測定を行おうとしたのですが、バスダクトメーカーが提供するオプションの監視ソフトではなく、KCCSが自社開発した監視ツールを利用したいと考えていました。コストを抑制するとともに、当社の要件に応じて、より多彩な項目を管理したり、分析・加工したりしたかったからです」(高本氏)
そのためにも、バスダクトに設置されたセンサに接続、電力量のデータを取得し、KCCSの管理ツールに送信可能な機器が求められていたといいます。
KCCSのそれらの要望に合致したのが、RMS-CU80です。「RMS-CU80は比較的安価な価格でありながらも必要十分な機能を備えており、かつ、柔軟な外部連携機能を有しており、当社の求める要件を実現できると判断しました」と尾方氏は採用理由を話します。
一方、サーバラックの電子錠管理ユニットとして導入されたのが、「RMS-EL48R」、及びPoE対応FeliCaカードリーダーです。高本氏は「データセンターに求められるセキュリティ要件を満たすため、利用企業に貸し出すサーバラックの扉の開閉に際して、証跡を取得する必要がありました。同時に、サーバラックの物理鍵の貸し出しに伴う人的負荷の抑制も求めていたため、ICカードを用いてラック扉の開閉を管理できる電子錠システムの導入を検討していたのです」と振り返ります。
「しかし、多くの電子錠システムは固有のラック製品と紐づけられており、電子錠のハンドルが特定のメーカーのサーバラックにしか対応しないといった制約がありました。対してRMS-EL48Rはさまざまなメーカーの電子錠ハンドルに対応していたことや、1ユニットにつき最大48ラックの電子錠制御・監視と扉監視が可能であるなど、コストパフォーマンスと拡張性に優れていたことが選択の決め手となりました」(高本氏)
加えて、標準搭載の電子錠管理Webアプリケーションにより、専用の管理ソフトウェアやサーバ機を導入することなく、電子錠とカードキーのみのサーバレス構成によるシンプルな運用が可能なことも採用を後押ししました。
この他にも、ZED石狩では、サーバラックのブレーカトリップの監視のために、接点監視ユニット「RMS-DIO80 」も導入しています。ブレーカの遮断による電力供給の停止を、いち早く検知できるようにしています。
現状調査から実機貸出による検証まで、東京エレクトロンデバイス長崎のサポートも評価
「今回のプロジェクトでは、東京エレクトロンデバイス長崎からさまざまな場面で手厚いサポートを提供してもらえました。例えば、ラック上部に設置するサーバ給電用のバスダクトを通じて電力測定を行う際に、バスダクトに設置されているメーカー固有の電流センサとRMS-CU80が接続可能か詳細な調査を行ってくれました。その結果、問題なく接続できることが分かりました」と高本氏は話します。
この他にも、導入前の検証では検証機の貸し出しを実施。「実機を用いた事前検証を通じて、計測された電力データの内容や監視ツールとの連携等、求めていた要件を満たせることが確認できました。また、検証時にはRMSシリーズに関する不明点が生じた際には、都度問い合わせを行ったのですが、常に迅速かつ適切な回答を寄せてくれました」(高本氏)
2024年10月のZED石狩の開所と同時に、今回導入された電力計測・監視、電子錠システムも本番稼働を開始しています。尾方氏は「電子錠システムの導入により、入館時のログ管理等、セキュリティの確保が実現されています。電力測定によってリアルタイムでの電力量が可視化されており、今後はさまざまなデータを可視化・レポート化することで環境意識の高い企業の利用を促していきたいと考えています」と意欲を語ります。
常時再エネ100%により、持続可能な社会の実現に貢献するZED石狩。そのセキュリティ確保と安定運用、そして電力利用のさらなる効率化をRMSシリーズが支援しています。
本案件で導入された製品
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多点交流電流監視ユニットRMS-CU80
実効値対応の多点交流電流監視ユニットです。電流センサ種別をセンサCH毎に設定でき、様々な電流監視システムを構築できます。
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接点監視・制御ユニットRMS-DIO80
AC100V/200Vシングル電源タイプの接点監視・制御ユニットです。接点入力80点、接点入力40点、接点出力80点、接点出力40点、接点入力40点+出力40点の5タイプをラインナップ。
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電子錠管理ユニット・スタンダードモデルRMS-EL48RRMS-EL24R/RMS-EL12R
電子錠追加スタンドアロン構成によるスモールスタートが可能(240ラックまで)。GoriRackサーバ導入で各種ICカードやQRコード認証に対応、入退室管理システム連携も可能。
【京セラコミュニケーションシステム株式会社のご紹介】
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、1995年に京セラ株式会社より分離独立し、情報システム企業として設立されました。既存事業の拡大を目指すと同時に、新たな事業領域にも踏み出し、現在では、「ICT」、「エンジニアリング」の分野においてビジネスを展開しています。
京セラコミュニケーションシステム株式会社※1:KCCS調べ。国内のデータセンターで24/7カーボンフリー電力に対応する取り組みとして。(2024年10月1日時点)