-
株式会社南日本放送様
-
本事例で採用された製品・ソリューション
- 多点接点監視・制御ユニット
「RMS-DIO4816-PI」 - アナログ入力モジュール
「RMS-AI08」 - 直流電源ユニット
「RMS-DIODC」 - 交流電源ユニット
「RMS-DIOAC」
- 多点接点監視・制御ユニット
オープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix 7.0 LTS」で中継局監視システムを構築
遠隔監視・制御装置「RMS-DIO4816-PI」で電波品質や設備稼働状況をSNMP監視
- ネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット 業種:放送
- PDFファイル
鹿児島を放送地域とする南日本放送(以下、MBC)。同社において喫緊の課題として浮上していたのが、ラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの刷新でした。導入コストの削減をはじめ、システムにおける汎用性の確保、そして社内設備に関する技術継承と保守スキルの蓄積に向け、MBCが選択したのが、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS-DIO4816-PI」、アナログ入力モジュール「RMS-AI08」、そしてオープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix 7.0 LTS」(以下、Zabbix)を組み合わせた遠隔監視・制御システムでした。
開発・導入前の課題
- ■ラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの再構築を、コストを抑制しながら実現したい
- ■各種センサからのアナログ情報をSNMPで取得し、Zabbixを用いて統合管理したい
ソリューションの利点
- ■監視ソフトウェアとセンサマネジメントユニットの組み合わせにより、汎用性と拡張性に優れたラジオ中継局の遠隔監視・制御が可能なシステムを実現
- ■東京エレクトロンデバイス長崎が提供するZabbixテンプレートを活用し、開発にかかるコストと時間を大幅に削減しながら監視・制御システムの構築を実現
導入後の効果
- ■汎用的なシステムで従来とほぼ同様の監視を実現、監視・制御システム構築に関するスキルも習得
- ■保守性に優れたアプライアンス型システムであるため、メンテナンス時の作業負荷を大幅に軽減
ラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの再構築が急務
コストの抑制と技術継承が課題に
1953年にラジオ南日本として鹿児島県初の民放ラジオ局として開局し、2025年で72周年を迎えたMBC。鹿児島県を放送対象地域に「ふるさとたっぷり」の社是のもと、地域に寄り添うコンテンツ制作を軸にテレビ・ラジオの兼営局としての放送事業を展開しています。経営企画局 DX推進部長 兼 技術部 末吉雄一郎氏は「MBCは自社制作番組の比率が高いことが特徴で、ラジオ放送では1953年の開局時から続くニュース、音楽、地域情報番組の『城山スズメ』、テレビ放送では1984年から放送を開始した情報番組『どーんと鹿児島』など、数々の長寿番組を有しています」と話します。
そうした同社において喫緊の課題として浮上していたのが、ラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの再構築でした。経営企画局 技術部 主任 亀之園栞氏は「これまでは外部の監視サービスを利用し、ラジオ中継局の遠隔監視・制御をしていました。しかし、同サービスで使われていたNTTドコモの3G通信サービス『FOMA』が2026年3月に提供を終了することとなり、監視システムの再構築が急務となっていたのです」と語ります。
また、末吉氏も「昨今の地方放送局はビジネス環境の激変により、コスト削減が迫られており、ラジオ中継局の遠隔監視・制御システムの再構築にも費用の抑制が求められていました。同時に技術スタッフの高齢化も進行、放送設備の運用や保守に関する技術の継承も喫緊の課題となっていました」と説明します。
-
株式会社南日本放送
経営企画局 DX推進部長 兼 技術部
末吉 雄一郎 氏 -
株式会社南日本放送
経営企画局 技術部 主任
亀之園 栞 氏
株式会社南日本放送

- 本 社
- :鹿児島市高麗町5-25
- 資 本 金
- :2億円(2024年3月31日現在)
- U R L
- :https://www.mbc.co.jp/
MBC FM中継局監視システムのシステム構成

南日本放送様におけるZabbixを用いた遠隔監視・制御システム画面
- 蒲生FM中継局でアラーム発生
- 蒲生FM中継局-状態監視画面
多点接点監視・制御ユニットRMSシリーズとZabbixを活用した監視システムの構築を決定
そこで同社では、設備更新にかかるコストの抑制と、社員の設備に対する理解力・技術力の向上も図れる方策として、ラジオ中継局の設備から取得される接点とアナログ信号をSNMP変換し、IPネットワーク上に統合可能な汎用的な監視・制御システムを実現することを目指しました。「以前より社内ネットワークの監視で利用していた、オープンソース統合監視ソフトウェア『Zabbix』を組み合わせることで、コスト削減に加え、将来的な運用負荷の抑制、そして自社内に設備監視・制御に関するノウハウやスキルを蓄積できると期待したのです」(末吉氏)
これら要件を満たすシステムとしてMBCが選択したのが、東京エレクトロンデバイス長崎が開発/販売するネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS-DIO4816-PI」、そしてアナログ入力モジュール「RMS-AI08」でした。
末吉氏は、「当初は、シングルボードコンピュータ等を用いて内製で遠隔監視・制御システムを開発できないか、という意見も寄せられました。しかし、他の業務を行いながら期限までに更新を終えなければならないことを考えると現実的ではないと判断しました。そうした中で、SNMPによる監視・制御に対応するとともに、Zabbixとも数多くの連携実績を有するRMSシリーズの存在を知ったのです」と振り返ります。
導入の決め手はさまざまなアナログ信号を取得できる多機能性と運用の容易性にありました。亀之園氏は、「RMSシリーズはアプライアンスとして提供されており、万が一故障した場合でも、ユニットを交換するだけで対応できます。また、山中などにある中継局の場合、基板がむき出しの機器はヤモリや虫の侵入で基盤がショートする恐れがありますが、RMSシリーズは筐体として完成しており、そうした侵入の懸念がないことも採用の理由です」と説明します。
「この他にも、直流/交流の冗長電源の対応により、停電時の予備電源への切り替え時には直流バッテリに瞬時に切り替えることでタイムラグの発生による電源断を回避できることや、電源が遮断した時にも電源復旧後には自動で再起動してくれること、現地に向かうのが困難な場所でのメンテナンスの容易性なども導入の後押しとなりました」(亀之園氏)
東京エレクトロンデバイス長崎が、親身なサポートを提供してくれたことも評価ポイントだったといいます。
「中継局の点検や保守を実施する際には、機器操作によって大量のアラームが発生します。そのため、保守作業によるアラームの送信を停止するためのスイッチが必須でした。また入局履歴も残せることから、マストで実装したいと東京エレクトロンデバイス長崎に相談したところ、RMSシリーズ側にメンテナンスモード切替機能を実装してもらえました」(亀之園氏)
ほぼ従来通りの監視体制を実現、メンテナンス性も大幅に向上
MBCは2024年秋に検証機としてRMS-DIO4816-PI、RMS-AI08、および温度センサ「RMS-TM02-M」を導入。併せて中継局から本社までの回線やサーバ環境を整備するとともに、2024年12月からはRMSシリーズとZabbixの接続設定や監視画面の開発に着手しました。Zabbixによる監視画面の開発では、東京エレクトロンデバイス長崎が提供するZabbixテンプレートが大いに役立ったといいます。
亀之園氏は「テンプレートには基本的なトリガーがすべて含まれており、Zabbixのマップ機能でアイコンを配置するだけで監視画面を作ることができました。また、テンプレートにない機能を追加する場合も、テンプレートの内容をガイドにすることで容易に開発を進められました」と話します。
現在、RMSシリーズを中継局に設置した状態で現地での検証を実施しており、2025年度中には5局に順次導入していく計画です。なお、放送機のアラームや上位局からの電波の受信状態、停電情報、発電機の運転状況等がZabbixによる監視対象に定められており、異常が発生した場合には通知が行われるほか、制御についても別途開発されたWeb画面を起動、RMSシリーズにコマンドを送信することで実施しています。
「従来とほぼ変わらない項目の監視が実現されているうえ、設置、交換に際してもケーブルを差し替えだけ済むようになったことは大きなメリットです」と亀之園氏は評価します。
末吉氏も「レスポンスが速く、何か事象が発生した際には、ほぼリアルタイムでアラートが送信されるため、迅速な初動に繋げられると期待しています」と語る。
RMSシリーズとZabbixを活用し、汎用性と将来的な拡張性も有した遠隔監視・制御システムを構築したMBC。末吉氏は「アナログ機器の信号を利用したシステムはまだまだ社内で運用されており、今後はそれらについても今回構築したシステムの適用を検討するなど、活用領域を広げていきたいと考えています」と展望を語りました。
本案件で導入された製品
-
電源二重化対応 接点監視・制御ユニットRMS-DIO9632RMS-DIO4816
NEW接点入力128点(入力専用96点+入出力兼用32点)を遠隔監視・制御するユニットです。アナログ信号入力の拡張可能。
AC100V/200V 、DC48V 冗長電源対応のキャリアグレードモデル。 -
アナログ入力モジュールRMS-AI08
計装入力信号(4~20mAや1~5Vの直流信号など)をWebアプリやSNMPマネージャから遠隔監視します。8chの小型モデル。
【株式会社南日本放送のご紹介】
1953年に「ラジオ南日本」として開局した南日本放送は、鹿児島で唯一の民放ラジオ/テレビ兼営局です。企業理念として「地域の人々と喜怒哀楽をともに」を、社是として「ふるさとたっぷり」を掲げ、ニュースや情報番組など、鹿児島地域に寄り添うコンテンツ制作に取り組み、テレビ・ラジオの兼営局としての放送活動を日々展開しています。
株式会社南日本放送HP